第30回 インド洋 ビンナガ資源に危険信号? 小型マグロはえ縄船の管理も急務

 インド洋のビンナガの漁獲量を見ていたら、最近インドネシアのはえ縄によるビンナガの漁獲量が急増していることに気が付いた。 5月にモーリシャスで開かれたインド洋マグロ類委員会(IOTC)の年次会合で、やはり、ビンナガ資源の管理を巡り論議があったことが 解った。
 インド洋では、ソマリア冲の海賊問題で、西部インド洋のマグロ漁業の操業が大幅に衰退、代わりに、刺身用のビンナガ狙いの操業が、 特に、南インド洋で急増している。最近のインド洋のビンナガ漁獲量は、国別漁獲量をみると、インドネシアの漁獲が急増しており、 これまで漁獲の主要部分を占めていた台湾の漁獲量をしのぐ年もある。
 IOTCで科学委員会の議長をしている西田勤博士によると、科学委員会では、ビンナガ資源は過剰な漁獲圧を受けており、 漁獲量を20%削減するよう勧告したが、これを巡って年次会合でかなり論議があったとのことである。
 実際、ビンナガ資源はどんな状態なのか?資源評価に用いられる資源量指数が国によって大きく異なるという問題があり、 必ずしも定かではない。主要なビンナガ漁獲国である台湾の最近年の資源量指数が減少を続けているのに比べ、 日本や韓国の資源量指数は最近急速に増加に転じている。ほぼ同じサイズのビンナガを各国のはえ縄漁業が利用しているわけであるから、 本来、資源の変動傾向が異なることはありえないわけで、この差異の十分な検討も必要だ。IOTCは、 漁獲量・資源量指数を精査して来年(2014年)資源評価を再度行い資源管理方策の検討をすることとなったという。
 小型マグロはえ縄漁船の増加は、大型のマグロはえ縄の陰に隠れて目立たなかったが、 ビンナガの過剰な利用に関する問題として顕在化しつつある。中西部太平洋のビンナガ資源も島しょ国の小型はえ縄漁船が、 ビンナガの漁獲を増やしており、また、悪化しつつあるメバチやキハダも漁獲、大きな資源問題となっている。
 一方、インド洋のマグロはえ縄漁業では、漁船隻数でみると、かつて主体であった大型船がさらに減少し、 代わって小型船数が大型船数を大幅にしのいで増加し、今や、はえ縄漁業の主体となっている。 最近の小型はえ縄船の漁獲効率は向上し、経済性にも優れているようだ。IOTCでは、この問題はあまり注目されていないようであるが、 今回の論議を契機に、科学委員会が小型はえ縄船の増加抑制もビンナガ資源管理対策として取り上げ検討し、 資源の安定を確保して欲しい。スーパーや回転寿司店で人気の高まっているビンナガマグロが食べられなくなったら困る。