第6回 マグロ研究に期待するもの(上)

偏っていたマグロ研究 

2007年から新しい水産研究所として、マグロ研究所が設立された。マグロ研究所の必要性は以前

から根強く存在し、筆者もその必要性を説き続けてきた一人であるので、その宣伝もかねて期待する

ところを述べてみよう。ふり返れば、旧南海区水産研究所以来連綿として、研究を続けてきた現在遠

洋水産研究所のまぐろ研究グループは日本よりも諸外国での評価が高い。それは、マグロ研究の諸

先輩方の素晴らしい研究実績が国際的レベルで、抜群であったからである。ところがその後、諸先輩

方がマグロ研究からはなれ、研究体制の維持が研究管理側からおろそかにされた結果、マグロ研究

部門へ新規補充がぱったりと止まり、筆者がマグロ研究の責任者を引き継いだときは研究体制が最

悪の状態であった。私が、マグログループに配属されて実に10年間全く新規の補充が無かったので

ある。研究者の絶対数が足りないこと、総勢10人ぐらいで、特に国際会議に出てまともに対応できる

研究者が2−3名という悲惨な状態であった。どこの研究所でも研究者の数が常習的に不足していた

が、誰が見ても異常と思える有様で、水産庁の関連する部署に、研究体制強化を求めて、何回直談

判に行ったか解からない。解散してしまった日鰹連などは、水産庁がやってくれないなら、自前で民

間のマグロ研究所を作ることを真剣に考えていたほどである。水産庁の中にも私に力添えをしてくれ

る方もあり、私が退職するときには世界中でもこれほどの研究陣容が整った研究グループはないと羨

まれるほどの体制だけは出来た。その時に、欠けていたと思われるものはまぐろ研究グループが資

源研究に偏っており、基本的な生理・生態研究、蓄養や利用加工等の分野を統括することを誰もして

いなかったことである。それは後に大きな禍根を残すことになるが、いずれにしても、念願のマグロ研

究所はついに作ることが出来なかった。 (つづく)