第4回 「小型マグロの巻網による混獲回避技術の開発を急げ(上)」

 WCPFC(中西部太平洋漁業委員会)海域が今日、世界最大のマグロ生産を挙げるに至った最大の原因

は、流木やその他の漂流物につくキハダ、メバチ、カツオを巻網で漁獲する方法が開発されたことである。

その後、FADs(人工イカダ)を流すようになって、漁獲量はさらに増加し、いまやこの漁法の有効な規制が

盛んに論議されるようになっている。ちなみに、この漁法を最初に開発したのは、日本である。それまでは、

中西部太平洋熱帯域では、巻網でマグロ類を漁獲することができないでいた。日本の漁業関連の人々の絶

えざる技術革新と注意深い観察により、この操業で漁獲が可能となったもので、画期的な出来事である。

 ところで現在、主に論議されており、早期に実現可能であるのが、小型魚が多く採られる時期や海域での

FADs操業を規制する方法である。この規制の実現に向けて方策を練るのは必要であるが、これだけに余

りにも勢力が裂かれすぎ、従来から可能性が示唆されてきた資源的に余裕のあるカツオだけを漁獲し、資

源状態の懸念されているメバチやキハダを獲らない方法、あるいは、小型魚の漁獲を回避する方法に関す

る研究や取り組みが、ややおざなりになっているように思うので、この点について現在までの知見を大まか

に述べてみたい。

 最初に、マグロ類のつき物による分類とつき物に対する巻網の操業について述べる。マグロ類の群れは、

FADs、流木、漂流物についているもの(なぜ魚が物につくのかは、いまだに分からない)と、そうではなく何

物にもついていないもの(素群れ)に大別される。

 マグロが鳥についているように見える群れがあるが、あれは、マグロが餌のカタクチイワシなどを追い上

げて食べているところに、海鳥も来て餌を食べているだけで、マグロが鳥についているわけではないので、

この分類によると素群れになる。

 一般に物についているマグロ類は小型で、素群れのマグロ類はそれより大きい。熱帯域では、ほとんど例

外なくつき物には、カツオ、キハダ、メバチが同時についており、カツオがいちばん(60−70%)、次がキハダ

(20−30%)、メバチはいちばん少なく10−15%くらいの割合で、巻網で主に漁獲される。

 物についているマグロ類は、明るくなるとつき物から離れるので、つき物操業は夜明け前の暗い時間帯

に、群れが固まっているうちに行われる。

 カツオ、キハダ、メバチともに夜間(100メートル−表層)は遊泳層が昼間(100−300メートル)より浅い。こ

の3種の遊泳層には、あまり大きな差がみられない。