「えべっさんとマグロ」 綱島 利恵 さん(兵庫県在住 会社員)

 私の住む神戸沿線には、毎年一月十日「商売繁盛、ササ持ってこい」の掛け声で知られ

る『十日戎』の祭典を催す西宮神社があります。関西では『えべっさん』として親しまれ

ていますが、『十日戎』はなぜか関西が中心で、関東にはないらしいのです。

えべっさんの総本社西宮神社では、十日に本えびす大祭が行われます。前日九日は『宵え

びす』、十一日は『残り福』と三日間お祭りが行われ、毎年百万人を超える参拝者で賑わ

います。

 その神社に、毎年大漁を祈願して近くの漁業組合から、三百キロを超える本マグロが奉

納されます。この冷凍の本マグロは参拝客から硬貨を貼り付けられて福を願う名物行事と

してその役目を務めているのですが、昭和45年から奉納されているとのことで、私もその

歴史があるのにビックリしました。

 それに、このマグロは、白亜の建物と紺碧の海の地中海や、世界の大洋で大回遊してい

たのだと思うと、スケールの大きさにもロマンを感じます。

 最近、魚には無知で触ることさえ怖がっていた私が、あるきっかけでシーフードジュニ

アーマイスター養成講座を受けることになったのです。魚介類についての学習が主になり

ますが、特に興味があったマグロについては、種類・栄養・目利き等に力を注ぎ勉強した

おかげで、マグロ関係の問題では良い点数が取れ、ついには合格の終了証書をいただくこ

とができました。これから魚のソムリエとしてもっと知識を深め、魚食の普及に少しでも

貢献できたら、と考えています。

来年のえべっさんも必ずお参りして、小鱗に覆われていた体が、硬貨いっぱい身にまとい、

大鱗に変身して輝いている大マグロに会いに行くつもりです。大マグロに感謝と、私の人

生と同じく『残り福』に願いを掛ける為にも・・・。