「マグロ・鮪・真黒?」 長谷川 靖 さん (神奈川県在住 フードコーディネーター)

 最初の出会いは中学時代、阿佐ヶ谷駅前の小さな立食い寿司屋「港寿司」、今まで食べ

たこともないような旨いマグロの寿司。以来、成績が上がったとか、誕生日とか何かにつ

けて父にねだって「港寿司」。後でわかったのだが江戸前のしっかりとした下ごしらえで、

知る人ぞ知ると言う店だったようだ。今でも寿司屋に行くとマグロの漬け・煮蛤・こはだ

は欠かせない。

 社会人第一歩、希望通りの水産会社に入社。研修期間中の業務報告、よせばよいのに半

可通。これが語源だとばかり鮪を真黒と書き、近頃の大学生は文字を知らないとばかり社

内で評判、べらんめえ、水産会社とは名ばかりでしらねへのは手前達ではと内心ののしり

ながら、広辞林をかわきりに調べてみたが、無い。

「真黒」との二度目の出会い。

 海鮮丼チェーンの創業ということで、当時外食事業担当でレストランの店長経験がある

ことから出向を命じられ、なにを間違ったかメニュー開発に携わる事となった。なにかア

ッ!と言わせるようなメニューをと要請され、どうせならメインの鮪丼に加えもう一つ、

コストの安い「ブツ」を使った「漬け丼」を考えることとした。鮪との3度目の付合いで

ある。

「胡麻だれ鉄火丼」、受けた!メインの鮪丼をはるかに引き離し、ダントツの売り上げ。

 サラリーマン生活を卒業、体力のあるうちにと今まで体験した事のない事柄に体当たり。

声優・ジャズ・パン作りの資格・お菓子の勉強。

フランス料理の教室に受講生として参加、講師が休まれた際代講を頼まれ、急遽マグロの

和風カルパッチョとしてくだんの「胡麻だれ鉄火井」を家庭の材料で簡単に作る方法を紹

介。以来受講生が講師として5年。きっかけはマグロ、4度目の転機。

 魚からはなれて、新しい仕事と色々挑戦したが、結局お釈迦様の掌でのあがき。現在は

魚食普及のための市民活動のお手伝い。こうなれば5度目に期待、大間でマグロの一本釣

りでも。