『山は富士、魚はマグロ、家庭の魚食力をつけよう』


〜〜回答編〜〜

質 問

下準備について教えてください。鯖には虫がいると聞いたのですが、料理するときに皮は全部取った方がよいのですか? また、身と骨に分けるときにハラワタ周りの骨をうまく取れません。身がもったいなくて1本1本抜いてますが、大変です。

回 答

男の子を抱えた若いお母さんからのご質問。サバに関するお題です。
サバは、ふんだんに手に入りますし、肉の味もしっかりしていて、季節によっては脂も乗せてますから、ボリューム感や旨味ともども、けして肉に負けていません。鉄分を主体とした栄養も豊富ですし、夏バテにもよい。若いお母さんやお子さんの舌には、ぜひ伝えたいサカナのひとつです。

まず、サバの寄生虫についてですが、「寄生虫」といっただけで顔をしかめる人、たくさんいますよね。自然界の生き物は、寄生したりされたりしてバランスよく生きているのですから、人間の都合で好き嫌いを言ってもどうにもならんのです。

寄生虫のほとんどが人間に害のないものですが、一方、よく耳にする「アニサキス」などは、普通の食生活では人間の体内には入ってこない生活をしているものの、だからこそ、たまたま入ってくれば人間の胃壁に食いついてイタイ・イタイとなっちゃうわけね。みなさん、このアニサキス、サバやイカやタラに居るやつは5ミリから1センチほどだけれど、そのあと食物連鎖で最終的にクジラの胃に入りますと、20センチ以上にもなるんですよ!! しかしクジラはなんとも思っていないようで、人間のように苦しがってはいませんねえ。 そもそも、寄生虫が寄生する宿主を苦しめるようでは、栄養をもらえないじゃないですか。だから、人間に食いつくアニサキスは、たまたま経路を間違って入ったもの、というわけなんです。

ごくたまにとはいえ、アニサキスがサバやイカやタラにいるのは事実。
ただね、彼らは一年中筋肉の中にいるわけではない。たとえばサバでは、産卵を終えて体力が落ちている晩春から夏にかけては筋肉中にいることがあるが、体力が回復してくると、アニサキスは筋肉から内臓のほうへと移動してきます。ですから、冬のサバは、鮮度の良いものならば、速やかに内臓を取り去り、刺身でもシメサバでも食って問題なし、なのです。

よく間違った情報で伝えられるのが、酢で締めたら虫は死ぬから大丈夫、というもの。塩辛のような強い塩でも、シメサバの酢締めでも、アニサキスは死にません。加熱あるいは冷凍すれば死んでしまうので問題はありません。
また、既に述べたように、だいたいの寄生虫は季節に応じて筋肉と内臓を行き来していますし、筋肉といってもほとんどが肋骨の入っている腹側付近に入っていますから、基本的には、ちゃんと健康な旬のものを買い、買ってきたら速やかに内臓を除き、腹側をそぎとってしまえば、何ら問題はないのであります。ですから、ご質問にあるように、寄生虫を恐れて皮を取る必要は、まったくないのですよ〜。

そして、腹骨をとることについて、この部分はたしかに寄生虫が居やすい場所ではありますが、加熱するのであれば、とらなくてもけっこう。
フライやシメサバや刺身など、アバラ骨をとりたい場合であれば、背骨に連結している肋骨の元を、逆さ包丁で切りはずし、包丁を寝かせて上方にすくい上げるように前後に動かせば、きれいにアバラを切り取ることができます。

面倒くさければ、バサッと大きく骨ごと切り落として、塩して焼いたり、味噌汁に入れる、僕は、自分で食べるときにはこうします。このほうが、いろいろ楽しめておいしいですし、野菜とも合わせられますし、手間も少なくて済みます。日常の料理は、“時短”で“おいしく”、“栄養バランス良し”でなくちゃね!

ともあれ、寄生虫を防ぐ一番の方法、それは、実は「よく噛む」ということです。毒ではないし、味も変わりません。小さなタンパク質なのですから。いや、これホント、冗談ではありませんのでヨロシク!