マグロの持続的利用について知りたい

OPRT設立の経緯

1999年、FAO(国連食糧農業機構)は、世界のマグロ資源は限界を超えて利用されていると判定し、大型マグロはえ縄漁船を減らすよう勧告しました。また、地域漁業管理機関(RFMO)の非加盟国に船籍を移して、RFMOの保存管理措置を無視して操業するいわゆる便宜置籍漁船(FOC漁船)による違法・無規制・無報告漁業(IUU漁業)も問題となっていました。このため、マグロ資源による恩恵を最も受けてきた日本は率先して132隻を減らすとともに、関係国・地域に働きかけて、FOC漁船とIUU漁業の廃絶に向けて動きました。

当時FOC漁船と呼ばれる大型マグロはえ縄漁船は約250隻存在していましたが、FOC漁船の実質運行者は台湾であり、我が国業界から台湾業界にFOC漁船の廃絶を働きかけた結果、日台業界間でFOC漁船廃絶計画が合意されました。しかし、現実に稼動しているFOC漁船を廃船するためには、当該船主に減船補償金の提供とスクラップに要する費用を補償する必要があり、その必要経費を日台業界が負担することとなりました。このため、スクラップ事業の実務を含め責任あるまぐろ漁業を推進する組織としてOPRTが2000年12月に設立され、OPRTは、スクラップ船の選定、スクラップの実施、スクラップ補償金の支払いと会員からのスクラップ事業負担金の回収等の実務を行うこととなりました。このスクラップ事業により39隻のFOC漁船が廃船となりました。

残りのFOC漁船については、RFMO加盟メンバーへ船籍を移し(正常化)、RFMOの規制に従って操業していくこととなりました。また、OPRTは世界の主要はえ縄漁業国・漁業者に協力を呼びかけ、日本、台湾、韓国、フィリピン、インドネシア、中国の漁業団体がOPRTに加入し、世界の大型マグロはえ縄船の殆どがOPRTに登録されました。また、世界最大の刺身マグロ市場国である日本の貿易業者、流通業者、消費者の団体もOPRTに加入し、目的達成のために協力することとなりました。

OPRTの活動

OPRTの共同宣言・決議

ジローのコーナー

鈴木治郎氏は長年にわたりマグロ研究者として国際的に活躍。
科学者として筋のとおった姿勢は高く評価されています。
マグロについていろいろと語って頂きます。

鈴木治郎

鈴木 治郎

1946年生まれ。1968年から遠洋水産研究所 (現 国際水産資源研究所)でまぐろ資源研究に従事、主に国際会議に対応。その間ICCAT(大西洋まぐろ類保存国際委員会)のSCRS(科学委員会)議長などを務める。
あらゆる権力に対する反抗癖は育ちの土佐の風土を受け継ぐ。キノコ狩りはプロ級を自認し、山菜、稲作、園芸など多忙を極める。